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体験を「フィクション化」して書く

こんにちは。
寒暖差の激しい季節の変わり目となりました。いかがお過ごしですか?
今日は、「フィクション化」についてのお話をしたいと思います。

 

「フィクション化する」とは?

私は最近、リライトのお仕事をさせていただいています。
「書きたい!」気持ちを持って1冊分書いたものの、どうも構成がうまく行かない、そんな方のお手伝いです。
章の順番を入れ替えたり、段落の順番を入れ替えたり、説明を加えたり、ややこしいエピソードは思い切って削ったり・・・と、そういうアドバイスをすることが多いですね。
今回お手伝いしている方は、ご自分の体験記を書こうとしているのですが、事実をそのまま書くと、関係者に影響が及ぶ、ということで、「体験記」を「フィクション化」することになりました。
とはいえ、その方は小説家志望ではないので、「事実を書く」スキルはあってもそれをどうやってフィクション化するのか、なかなか手間取っていらっしゃいました。

1。名前を変える

一番手取り早いのは、「本名を仮名にする」ことでしょう。
ライターの仲野マリではなく、ライターの目黒祐子、みたいに。
でも、映画や舞台のことを書いているライターで、歌舞伎に詳しい・・・となると、
「あれ? 仲野マリっていう人のプロフィールに似てるな」となってしまいます。
キーワード検索したら、出てきてしまうかもしれませんね。

2。職業を変える

では「ライター」を政治記者にしましょうか。それとも料理研究家にしましょうか。
変更の選択肢は無限大ですが、その後のストーリーにうまく嵌めなければなりませんね。
「書く職業」という部分が外せなければ、政治記者は範囲内ですが、料理研究家は選択肢から外れてしまいます。
でも、プロアマ問わず「エンタメ好き」が重要なら、よく感激して、プロ顔負けのレビューをSNSに投稿している、くらいの感じで料理研究家でもいけますね。
ただし、そうなると、「料理」についてのエピソードを盛り込まなければなりません。
こちらが手薄になると、「料理研究家」が嘘っぽく見えてしまいます。また、本筋と離れすぎる危険性もありますので、注意が必要です。

3。所属企業の規模や業種を変える

人物だけではありません。所属している会社の名称、規模、業種なども、どこまで変えず、どこを思い切って変えていくか。
もし銀行にまつわるビジネス小説を書こうとしていたら、「銀行業界」であることは必須ですよね。でも、その話は大手銀行でなければ書けない話なのか、地方の信用金庫ではダメなのか、とか、ストーリーに必要なものは何かを残しながら、変更していきます。
所属の部署名や、管理職の職名は、場合によっては事実に近すぎるとすぐにわかってしまうので、要注意。企業によって少しずつ違いますから、その辺に注意しながら架空の部署を作るのも手かもしれません。

4。キャラクターを際立たせるが、本人特定を避ける

文章は目に見えませんから、読者がキャラクターを区別しやすいように、イメージを作らなければなりません。仕草や口調、風貌も重要です。
その際、「事実はこうだった」をそのまま描いてしまうと、「あ、あの人のことだ!」と分かってしまうので、風貌からくるニックネームなどは、正反対のものにするなど配慮が必要です。(例えば、背が高い「ノッポさん」→小柄な「ミニーちゃん」みたいに)
女性を男性にしたり、2人のエピソードを1人のエピソードにまとめたり、やり方はいろいろありますが、ありがちなのが、「気がついたら、主人公より脇役が目立っていた」という落とし穴。
往々にして、事実は地味で、フィクションは派手になるものです。

5。著者の胸にある「書きたい真実」を見誤らない

事実と真実は必ずしも一致しません。フィクションとは、事実を捨てて真実を浮かび上がらせる手立てです。
私はリライトのスキルはありますが、大切なのは著者様の、「書きたい真実」を見誤らないこと。どんなに面白いエピソードを重ね、どんなに読者にとって読みやすい文章になっても、「私が書きたかったことと違う話になっている」と著者ご本人が感じてしまったら無意味です。
リライトとは、常に著者との二人三脚。イタコであることを忘れずに臨んでいます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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