「写経」でしかわからなかったこと

おはようございます。文章シェルパの仲野マリです。
昨日は、三島由紀夫の「金閣寺」を読む会の3回目でした。

読書会に先立ち、参加者からメールが届きました。
「私、写経を始めたんです。そしたら、気づいたことがあって・・・」

小説を書き写す「写経」

ここでいう「写経」とは、文章を書き写す作業のことを指しています。
彼女は私と同じように、三島由紀夫の「金閣寺」を写経し始めたというわけです。

「写経」で分かった読点の特徴


そして気づいたのは、「、」=読点の付け方。
そうなんですよ。

読書会でそのことに触れると、他の参加者さんから
「私、読んでいて全然気づかなかった」という声が!

読む時は、知らず知らずに自分のリズムに変換しながら読むんですよね。
「、」があったら絶対そこで一度息継ぎするかというと、そうはしないものです。
「、」がなくても、立ち止まることもあるし。
だから、「、」は、一字一句書いてみて、初めてその存在意義に気づくのかもしれません。

私も、「写経」してそのことに気づいたので、これは「写経」しないとわからないことなんだな、と改めて実感しました。

小説とノンフィクション・実用書で、「、」の役割も違ってくる、というお話もしました。

社会情勢による主人公の心の変化

第三回読書会では、太平洋戦争の終戦前後での、主人公の心の変化に焦点を当てました。
精読していくと、「戦争の終結」が、いかに彼の人生に大きく影響したかが分かります。

また、女性に対する偏った見方についても、色々と意見を取り交わしました。
特に「といふのは、私が人生で最初に感じた美に対するその後の官能の反抗に、媚びるやうなものがあったのだ」をどう読み解くか?
ここでの「、」の付け方にも注目したりもしました。

主題に関する重要な文にも出会う

この物語は、最終的に登場人物が金閣寺を燃やしてしまうという決着点に向かっていることは皆わかって読んでいるわけですが、その意味で、
「なぜ金閣寺を燃やさなければならなかったのか」は最も重要なテーマであるはずです。
しかし、「スッと読んだだけでは、なぜだかよくわからなかった」という声も聞いています。
主人公が「金閣寺」とどう対峙しているか、その変化が見て取れる文章が、今回は数多く見つかりました。大災害を故意に引き起こそうとする者に共通する心理状態も描かれていました。

いろいろな気づきがあった第三回。

次回は12月16日(金)19時半から。

第四章~第五章を中心に、第六章まで取り上げる予定です。
いよいよ「柏木」という第二の「友」が登場。
今回も、柏木が溝口にとってどんな存在か、第一の友・鶴川との違いなどについて話しましたので、そのへんがどのあたりに描かれているかに注目して読んでいきたいと思います。

ご興味のある方は、4回目からでもぜひご参加ください。

info@nakanomari.netまでメールで、あるいは
LINEに登録している方は、そちらからお知らせいただいてもかまいません。

月200円、年払いだと割引で2,000円です。
じっくりと三島の世界を探検していきましょう。

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