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Q.13 なぜ女性は歌舞伎をやれないの?

「キマリだから、男しかできない」って言われても、理不尽!って思いますよね。歌舞伎はなぜ、男性だけなんでしょうか?

本日のギモン:なぜ女性は歌舞伎をやれないの?

世の中で、「当初は女性に禁じられていたが、今は女性もできるようになった」というものは数多くあります。
たとえば女子マラソンなどは、つい最近まで「女性に40キロ以上走らせるなんて、無謀」という理由でやらせてもらえませんでした。
他に、お医者さんも、女性はお産婆さん(助産師)にはなれても、医師にはなれなかった時代がありました。
演劇の世界でも、「女優」という職業ができたのは歴史的にかなり後。
シェイクスピアの演劇も、当時はオールメール。今の歌舞伎と同じく、男性ばかりでした。

現象だけ見ると、イギリスも日本も同じかもしれません。でも、成り立ちを見ると、歌舞伎は逆。
最初に歌舞伎踊りを始めたのは、出雲の阿国という女性だったんです。
では、なぜ今の歌舞伎には女性がいないのか?

最初は男女が同じ舞台に立って演じていましたが、それが風紀上よろしくない、ということで禁じられたのです。
それで、シェイクスピア時代のイギリスと同じように、女性役は少年が演じるようになりました。
でも…これも結局「風紀上よろしくない」ということになり…
「少年だからよくない。成年男子にしろ」というお触れが出たのです。
少年と成年と何が違うか、というと、元服前の少年は、前髪があり、前髪を剃った月代(さかやき)の髪型が大人の男の証拠でした。
前髪の美少年は、女性と同じように色気を感じた、ということなのでしょう。

それで成年の男子が女性の役をやる「野郎(やろう)歌舞伎」が始まりました。
今の歌舞伎は、その流れを汲んでいます。

本日のお答え:江戸時代の「野郎歌舞伎」が続いているから

今は「女優」という職業もありますし、同じ舞台に男女で立つことが禁じられているわけではありませんから、
「歌舞伎に女性が出てもいいじゃないか」と思われるかもしれません。
実際、地方の地芝居では、多くの女性が歌舞伎の舞台に立っています。近い将来、プロの歌舞伎の世界にも、女性が進出するかもしれません。
ただその場合、400年の歴史が紡いだ、女性なしで演じる技術という独自に発展した「歌舞伎」という様式の中で、
「本物の女性と女方とが、違和感なく「女の役」として並立できるか」という点は、課題になるでしょう。
逆に、本物の女性と男性による女方の違いを、うまく生かしたキャスティングができるか、という点にも注目が集まるかもしれません。
ちなみに、画像は岐阜県の地芝居公演の写真。お舟という主人公(左)を演じているのは、女性です。
場合によっては40キロ以上にもなる衣裳や鬘を身につける体力など、女性が恒常的にプロの舞台に対等に立つまでには、まだ時間がかかるかもしれません。
いずれにせよ、日本の少子高齢化と、伝統芸能を目指す人々の減少を考えれば、歌舞伎を愛する人であれば、
女性であれ、外国人であれ、やがて受け入れられていくのだと私は思います。
舞台に出る出ないは別として、技術の伝承のためにも、研修所は女性に門戸を開いてほしいと切に願っています。
名女優の山田五十鈴さんが「梅王丸」に扮した写真などを拝見すれば、問題は男女の区別ではなく、才能と熱意、そして鍛錬の有無がすべてだと思います。

本日のまとめ:

1.歌舞伎の始まりは、女性だった。
2.「風紀」の問題で、男女が舞台に一緒に上がることが禁じられた。
3.女性の代わりに少年が演じていたが、これも禁じられた。
4.成年男性のみによる「野郎(やろう)歌舞伎」が定着し、今に至る。
5.地芝居では、女性も活躍している。「女性は技術的にできない」ということではない。

 

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